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唾液ベースのRT-PCRを無症候性COVID-19スクリーニングに使用すべきではない

Change in Saliva RT-PCR Sensitivity Over the Course of SARS-CoV-2 Infection
Zion Congrave-Wilson,et al./
JAMA. 2021;326(11):1065-1067. doi:10.1001/jama.2021.13967

SARS-CoV-2検出には,鼻咽頭ぬぐい液を用いたリアルタイム逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)が現在の標準となっているが,唾液は採取が容易で必要物資が最小限であることから,診断やスクリーニングのための魅力的な代替手段となっている。
【方法】2020年6月17日から2021年2月15日の間に、RT-PCRでSARS-CoV-2が確認された世帯員に2週間以内に曝露された人の便宜的なサンプルを、ロサンゼルス小児病院と近隣のコミュニティ検査場から募集し、Household Exposure and Respiratory Virus Transmission and Immunity Study(HEARTS)を実施した。3~7日ごとに、最長4週間、または鼻咽頭検査で2回陰性となるまで、鼻咽頭と唾液のペアサンプルを採取した。SARS-CoV-2のN1およびN2遺伝子のRT-PCRを実施し、サイクル閾値が40未満であれば陽性とした。4 検体採取およびRT-PCRの詳細な方法は,SupplementのeMethodsに記載されている.唾液の感度は、上咽頭陽性のRT-PCRを参照基準として算出した。COVID-19の発症は、最初の症状(毎日のアンケートで収集)と最初のRT-PCR陽性の間の早い方の日付と定義した。症状が出る前と後は、それぞれ症状が出る前と後の無症状の時点と定義した。採取した週ごとの唾液感度、および症状のある人とない人の間の唾液感度を、χ2 検定またはフィッシャー正確検定を用いて比較した。一般化推定方程式を用いて,同一人物からの反復サンプルを考慮しつつ,上咽頭陽性ペアの唾液感度に関連する臨床的特徴を決定した。解析はSPSS version 27.0(IBM Corp)を用いて行い,2辺P<0.05を有意とした.参加者から書面によるインフォームド・コンセントを得た。本研究は,ロサンゼルス小児病院の機関審査委員会によって承認された。


【結果】404名の参加者から採取した889本の鼻咽頭スワブ-唾液のペアを検査した結果、524本の鼻咽頭(58.9%)と318本の唾液(35.7%)からSARS-CoV-2が検出された。258組(29.0%)では両方の検体からSARS-CoV-2が検出された。上咽頭SARS-CoV-2陽性者256人(63.4%)の平均年齢は28.2歳(範囲、3.0~84.5歳)で、108人(42.2%)が男性であった。参加者は中央値で3回の訪問に戻ってきた(四分位範囲、2~4)。

256名の参加者から得られた524件の鼻咽腔内陽性ペアサンプルにおける唾液感度(A)と、検体採取時に症状があった参加者と無症状の参加者(B)を、COVID-19発症後の採取時期(最初の症状または最初の逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応陽性のいずれかの早い時期と定義)でグループ化した。エラーバーは95%CIを示す。

参加者のうち93人(36.3%)は感染期間中に無症状であり、163人の有症者のうち126人(77.3%)は重症度が軽いと報告した。唾液の感度は、感染した最初の週に採取したサンプルで71.2%(95%CI、62.6%~78.8%)と最も高かったが、その後は週を追うごとに低下した(図、A)。感染第1週目の検体採取日にCOVID-19関連の症状を呈していた参加者は、無症状の参加者に比べて唾液の感度が有意に高かった(88.2%[95%CI,77.6%~95.1%]対58.2%[95%CI,46.3%~69.5%],P < 0.001)。唾液の感度は,2週目も有症者で有意に高かった(83.0%[95%CI,70.6%~91.8%]対52.6%[95%CI,42.6%~62.5%]);P < 0.001)。COVID-19発症後2週間以上経過しても差は見られなかった(図、B)。

感度は,非症候性(34.7%[95%CI,27.3~42.7%]),症候性前(57.1%[95%CI,31.7~80.2%]),症候性後(42.9%[95%CI,36.8~49.1%])の各時点で有意な差はなかった(P=0.26).COVID-19発症後1日ごとに、唾液検出のオッズ比は前日と比較して0.94(95%CI,0.91-0.96)となった(P<0.001)(表)。

検体採取時にCOVID-19関連の症状を呈していた参加者や、鼻咽頭ウイルス量が多かった参加者は、無症状の参加者や鼻咽頭ウイルス量が少なかった参加者と比較して、唾液がRT-PCR陽性となる確率がそれぞれ2.8(95% CI, 1.6-5.1; P < 0.001)、5.2(95% CI, 2.9-9.3; P < 0.001)高かった。

【考察】唾液は、感染初期の有症者におけるSARS-CoV-2の検出に感度が高かったが、無症候性SARS-CoV-2保菌者の感度はすべての時点で60%以下であった。職場、学校、その他の共有スペースにおけるCOVID-19検査戦略を最適化する際には、無症候性感染における唾液の低感度を考慮する必要がある。本研究は、唾液ベースのRT-PCRを無症候性COVID-19スクリーニングに使用すべきではないことを示唆している。この研究には限界があります。サンプルは家庭内暴露後に採取されたため、検査前確率が高かった。鼻咽頭ぬぐい液検査が基準となっているが,これは SARS-CoV-2 感染症の完全な検査ではなく,感染から 10 日以上経過したサンプルから得られた RT-PCR の陽性結果は,ウイルスの複製や感染性を予測するものではない可能性がある6。

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